初めての抜歯

「親知らずを抜いたほうが良いですね。」歯医者さんに告げられ、ついに私もこの日が来たか、ちょっと嬉しいような気分。
その後、会う人会う人に親知らず抜歯ストーリーを訊ねる。皆さん、案外抜いているもんなんですね。1本2本当たり前、4本とも全て抜歯済みの人も数人。
"麻酔が効いていて痛みは無いけれど、歯を抜くギシギシというイヤーな音は嫌でも聞こえてくる。風邪を引いてたため、抜歯後は顔がだいぶ晴れ上がり、痛みもあった。"友人Hの体験談を聞いて、なんだかとっても怖気づいてしまった。

風邪が治りきって無いカラダでおびえながら、約束の時間に歯医者へ向った。「熱が出てなければ大丈夫ですよ。」と笑顔で言われ、覚悟を決めた。
歯医者さんも歯医者さんで、「レントゲンでは根っこがこう、まっすぐに生えて見えるので簡単に抜けると思いますけど、奥のほうにかぎ状に曲がっている場合もあるかもしれません。もし抜歯を続けるのが困難な場合は途中でストップして大学病院での治療をして頂く場合もあります。」「抜歯後、痛む事や腫れる事や熱が出る場合もあります。」等など、私を脅す。

ええぃ、何でもいいから早く抜いてしまっておくれ、と心の中で叫びつつ、大人しく相槌打って、了承の意味を示す。

で、抜いたわけですが、あまりに呆気無い。手術室みたいな別室に呼ばれるわけでもなく、いつもの寝椅子でほんの10分位でハイ終わり。ぜんぜん痛くないし、ギシギシ音もしない。おまけに値段も安い。麻酔が切れた後にはズキズキ痛むのかしら、と思いつつ歯医者を後にする。1時間たっても2時間たっても、特に痛みは感じられない。

人生初の抜歯は、なんとも拍子抜けであった。