彼の正体

この度の欧州旅行で強烈に胸に刻まれたモノの一つ、それが公共交通機関。ウィーンのそれにも、ロンドンのそれにも、それはそれは感心させられた。先日行った図書館で「ロンドン近未来都市デザイン」という本を見つけたので、ロンドンの復習がてらに貸りてみた。
ロンドン近未来都市デザイン―新建築+新インテリア・ガイド

その中で嬉しい記事を発見した。昨年の香港旅行での一番の思い出だった”地下鉄のカッコ良さ”。その地下鉄のデザイナーは誰なのかずっーと気になっていた。ネットで検索しても探し出す事が出来ずにいた。ところが、意外にもその本の中で愛しの彼の正体が明らかになった。

彼の名は”Roland Paoletti(ローランド・パオレッティ)”
イギリス生まれのイタリア人建築家。70年代に仕事の本拠をローマから香港へ移し、地下鉄敷設事業に長年携わる。その実績をかわれ、ジュビリー・ライン延長区間(JLE)の総監督に大抜擢される。
総工費35億ポンドという大事業の総監督を務めたのはベテラン地下鉄建築家のローランド・パオレッティ。全体のコンセプトを打ち出し、各駅舎のデザインをそれぞれ異なる建築家に発注し、各人の個性を生かしつつJLE全体のイメージ統一も図るという難事業を、この人は強力な統率力をもって成し遂げた。
彼が建築家達に示した統一ビジョンは、次のようなものだった。機能的には(1)駅とバスターミナルを連結させ、地域の交通網を充実させる。デザイン的には(2)地下まで自然光を最大限採り入れる。(3)地下鉄以外のプラットホームに転落防止用のガラスの仕切りを導入。(4)細部の仕上よりも構造の美を追求する。とりわけ(4)の方針が、JLE駅全体のダイナミズムを生んだと高く評価されている。11の駅は、新築駅改装駅いずれも当代随一の建築家によるデザイナー・ステーション。

いい仕事してます。ロンドンといい、香港といい。